森 つねと 道国政相談室長
「かけある記」
オホーツク管内の紋別市でこの原稿を書いています。いわぶち
友さん(参院比例予定候補)と戦争法の問題などで各地を
回るためです。
「赤旗」記者だった頃、TPP(環太平洋連携協定)の問題で
何度も訪れた地域。取材に応じてくれた農家の男性が語った
言葉を今でも覚えています。「農業がだめになって困るのは都会
のみなさんですよ。俺たちは自分らの食べる物はつくれるんだから」
札幌で生まれ育ち、食料をいただく側だった私にとって頭を殴られ
るような思いでした。
先日、同じことを語る酪農家の男性がいました。TPP調査で
畠山和也衆院議員と胆振地域を訪れたときのこと。この男性は
私たちの訪問を歓迎していない様子で、「言いたいことはない」と頑(かたく)なでした。
しかし、粘り強く実態を聞くなかで、少しずつ本音を語ってくれます。
安全保障や環境の面から食料は自国で生産すべきだということ。安倍政権のもとで農業の
展望が見えないもどかしさ。そして、日本の農業が壊滅したとき、「困るのは消費者」だと―。
玄関先でのやり取りでしたが、帰るときは外に出て、私たちの車が見えなくなるまで見送
ってくれました。
ある農協組合長は怒ります。「国会決議や(自民党の)選挙公約があったのに
『大筋合意』とは何だ」「民主主義ではない。独裁だ」。農民が支持しないTPPは撤退しか
ありません。