紙 智子 参院議員
「国民の願いを胸に」
この夏、深く心に残った二つのことを紹介します。
ひとつは長崎の平和式典で田上富久市長が読み上げた「平和
宣言」。被爆者の皆さんの切実な願いを込め、今やるべき内容を
示す宣言でした。世界の人々が広島・長崎に来て、何がおきたの
か知ってほしいと。
同時に核抑止に依存する国と、核兵器禁止交渉開始を主張する
国との対立を克服するためにも、被爆国日本が自ら非核三原則の
法制化と抑止力に頼らない安全保障の枠組みである「北東アジア
非核兵器地帯」の創設を求めたことです。
今ひとつは、映画「トランポ~ハリウッドに最も嫌われた男」です。
米ソ冷戦が激化する1947年から本格化したアメリカ・ハリウッドの
赤狩り。最初の公聴会で「君は共産主義者か、それともかつてそうだったか」と問い
ただされ、証言を拒否し告訴された最初の10人の映画人の先頭にいた脚本家です。
地位も収入も仕事も奪われ、投獄されるも、家族に支えられながら、偽名で「ローマ
の休日」や「黒い牡牛」をはじめ多くの名作を世に送り出しました。政治的圧力をはね
のけて脚本を依頼する俳優や映画監督が続き、たたかい続けたトランポにアカデミー
賞が授与されるラストシーン、万感の思いがこめられたスピーチは圧巻です。圧力を
はねのけたたかう姿と、今も続く社会変革のたたかいの大切さに胸熱くなりました。
(しんぶん赤旗 2016.8.21掲載)