2024年5月29日水曜日

力を合わせて介護の安心を

 

畠山 和也 元衆議院議員

「かけある記」


旭川市で介護保険の改善をとシンポジウムが開かれ、報告者を務めました。介護保険が始まった2000年から保険料は約2倍になり、利用料も1~3割と負担が重くなっています。「本当はデイサービスに週2回、通いたいのに」と不満が出されました。

 訪問介護の報酬が減らされ、ヘルパー不足に拍車がかかりかねません。健康の観察や認知の程度をとらえてケアマネジャーにつなぎ、会話を通じて「気持ちの支援」もおこなうヘルパーは、れっきとした専門職。まさに「生活の要」の役割を果たしています。

 その報酬を下げるということは、国は「安い仕事」とみなしたということ。雪が降る厳寒の北海道では移動や駐車だけでも一苦労し、一軒一軒を冷えた体で駆けまわる献身さや使命感を、国は何だと思っているのか。ヘルパー不足で支援の手がまわらず、断る事態が起きていることに胸を痛めないのでしょうか。

 財政制度等審議会が出した建議を見て驚きました。「利用者負担(2割負担)の対象者の範囲拡大」「人員配置の効率化や経営の協同化・大規模化」「軽度者に対する介護サービスの地域支援事業への移行」など、もっと負担を増やし、小規模事業者はつぶし、介護保険を使わせないというもの。「保険あって介護なし」そのものです。

 介護職員や事業者だけでなく、国民世論を広げて食い止めましょう。くらしの安心を壊す自民党政治を早く終わらせなければと、決意を新たにがんばります。


食と農の再生を国政の中心課題に

 

紙 智子 参議院議員

「国会かけある記」


参議院で「食料・農業・農村基本法改正案」の質疑が続いています。

 25年ぶり改正の重要法案です。4月26日の本会議で岸田文雄総理に質問し、5月連休明けに栃木県那須市へ調査、その後、政府質疑、参考人質疑、岩手県盛岡での地方公聴会と続いています。

 論点も浮き彫りになっています。改正案は、食料安全保障を強調していますが、食料の権利とは書かれていません。能登半島地震の被災地で食料不足が問題になっていますがボランティア頼みです。食料自給率38%、目標を1度も達成していず、政府は「人口減少、国民の食生活が変わっている」などと、まるで社会現象を原因にして、反省はありません。

 よかったのは参考人質疑。5人の参考人のうち3人が改正案の問題点を指摘しました。農民運動全国連合会(農民連)の長谷川敏郎会長は、家族農業の役割を強調し、生態系の機能を活用したアグロエコロジーを紹介しました。ツバメや稲に張り巡らされたクモの糸の写真、害虫を防いでくれる様子を自らの取組から紹介されました。日本の農業の奥深さ、未来を感じる発言でした。

 国会には食料自給率の向上を求める署名が次々と届きます。要請行動を受けて論戦にも力が入ります。

 日本共産党北海道委員会は、5月11日に「アイヌ施策推進法見直しを考える集い」を開きました。見直しが始める年、タイムリーな取組を力に見直しを求める運動を広げましょう。


2024年5月15日水曜日

気候危機対策は待ったなし

 



岩渕 友 参議院議員

「国会かけある記」


大型連休中、福島は暑い日が続きました。そうかと思えば急に寒くなったり…。気候危機対策は待ったなしだと様々な場面で実感します。

 脱炭素を実現するとして水素やアンモニアなどを使って発電する「水素社会推進法案」と、苫小牧で実証試験が行われた二酸化炭素を地下に埋める「二酸化炭素貯留(CCS)事業法案」の審議を行っています。

 水素は発電時に二酸化炭素が出ずクリーンだといいますが、製造方法によって変わります。再生可能エネルギー由来の水素は「グリーン水素」と言われますが、化石燃料を使って製造する水素なども「非化石エネルギー」と位置づけていることは問題です。

 日本がやろうとしているのは、石炭に水素を混ぜて燃やす発電で、20%混焼の実証事業段階です。商用化は2030年です。さらに、海外で化石燃料から製造し、その過程で発生した二酸化炭素を回収する「ブルー水素」の輸入も進めています。

 G7のエネルギーに関する会合で、再エネを進める世界の流れに逆行するとして「孤立する日本」と批判の声があがりました。政府は業界団体の要望にこたえるみせかけの脱炭素から抜け出せずにいます。

 今年はエネルギー基本計画の改定が行われます。2030年のみならず、2050年を見据えた内容にしなければなりません。多様な意見が反映され、国民的な議論が行われるよう求めていきたい。


2024年5月11日土曜日

アイヌの歴史に思いはせる

 


 紙 智子 参議院議員

「国民の願いを胸に」


 

五月晴れのメーデーに憲法記念日の行進。皆さんと一緒に行進し、声を上げ、たたかう気概を充満しました。連休明けから、農業基本法の質疑が始まります。

このほど雑誌『前衛』(6月号)の企画で、北海道大学アイヌ・先住民研究センター教授の北原モコットウナシさんと対談をする機会がありました。テーマは「差別の歴史ー権利回復と人権尊重への前進を」です。北原教授に北海道大学構内のアイヌの関連施設を案内してもらいました。構内にアイヌコタン(集落)もあったということです。納骨堂は医学部敷地内に建てられ約1000体のアイヌの遺骨が置かれていましたが、多くは白老の「慰霊施設」に移されました。

対談では、北原先生ご自身の生い立ちを初めてお聞きしました。子どもの頃寝る前に母親が「ユカラ」の和訳を読み聞かせてくれたと言われました。今で言うアクションもの、威勢のいい物語で面白くてそらで覚えてしまった。目にゴミが入るとお母さんの膝に寝かされて目元に指で水をつけながら「ポンピサックモムモム」とおまじない。いつの間にか痛みがえた。ポンはアイヌ語で小さいという意味、ピサックはひしゃく、モムモムは流れろ流れろと、これを繰り返しているうちにゴミが流れてしまったと言われました。何と楽しいすてきな思い出でしょう。

アイヌへの差別がどのように形づくられたのかを解明する話を聞きながら、今年、アイヌ施策推進法の見直しに思いをはせました。

 


2024年5月8日水曜日

地域を壊しているのは誰だ

 

畠山 和也 元衆議院議員

「かけある記」


この原稿を書いている時点で公式発表はまだですが、2030年度末の新幹線札幌延伸はできなくなりました。昨年秋の政府要請で、私から工事は遅れているし「このままでは矛盾が深まる」と強調したのに、国交省側からは何の回答もなし。今になっての発表で、混乱が広がっています。

 開業目標は2035年度末だったのに、自民党と経済界の要望で前倒しされたのは周知の事実。工事を急ぐなかで現場での死亡事故は6件も起き、有害掘削土は市民の不安の声に背を向けて強行搬入されました。じゅうぶんな技術的裏づけもなく、市民合意を無視して工期短縮を決めた政治的責任は重大です。

 札幌延伸でJR北海道は黒字になるのか、北海道や自治体の負担はどれだけ膨らむのかなど、明らかにせず工事続行でいいのか。新幹線に並行する函館本線(山線)のバス転換も、検討し直す必要はないのでしょうか。

 道内117自治体が、将来的に消滅の可能性があるとの報告書が発表されました。一部大企業や富裕層の利益を優先して、社会保障や農林漁業、公共交通という地域の土台を壊してきた自民党政治の結果ではないのか。新幹線問題と根はいっしょです。

 田中角栄氏とも交流したという、ある町の自民党青年部長を務めたという方と会いました。「金のことばかりで、もう自民党はダメだ。地方のことを考えていない」と立腹されていて、日本共産党を友人にも広げると言います。私も元気に訴えてまわりたい。